プラスチック光学部品を導入するために必要なこと

プラスチック光学部品を導入するために必要なこと

では実際にプラスチックレンズを導入するために何が必要かを考えたいと思います。
まず、1-1.プラスチックレンズとガラスレンズの違いの比較を改めて見てみたいと思います。

強度耐熱性耐環境性レンズ精度形状自由性軽さ生産量価格
プラスチックレンズ△〜○△〜○△〜○
ガラスレンズ××△〜○×〜○

1.使用環境

光学部品の材料選定において、耐環境性、耐摩耗性、例えばどのような温度・湿度環境で使用されるのか?表面に露出するのかと言った使用環境は重要な項目となります。

2.光学レイアウト、仕様

一般的にプラスチックレンズに使用される樹脂は、光学ガラスと比べると屈折率が低く、温度や湿度による物性・形状変動も大きくなります。そのため、光学レイアウトで高屈折率が必要な場合や温度変動にシビアな光学系では、プラスチックレンズでは機能を満たせない可能性があります。
しかし昨今では、高屈折樹脂や吸湿の少ない樹脂も開発され、プラスチックレンズでも高い屈折率を得る事ができる場面もあります。

3.レンズ形状

プラスチック光学部品は形状自由度が高い事が特徴の一つです。レンズに位置決めピンやフランジを一体成形できるため、組立プロセスを含めて最適な形状を作製する事が可能です。また、ガラスレンズでは対応が困難な高精度な自由曲面レンズもプラスチックレンズであれば実現可能です。

4.数量、コスト

一般的に、樹脂レンズはガラスレンズに対して生産性が高く、大量生産に適しています。一方で、小ロットでは、イニシャルを含めたトータルコストでガラスレンズの方が有利な場合もあります。

以上の通り、樹脂レンズ、ガラスレンズ共にメリット、デメリットがあり、用途、光学素子のサイズ、保持方法、精度等、様々な観点から最適な材料の選定を行う事が必要となります。